就職活動や転職活動において、志望動機はとても重要な要素です。企業は採用選考にあたって志望動機を慎重に審査し、その人物が自社にフィットするかどうかを見極めようとしています。本日は、志望動機の重要性や効果的な書き方のポイント、さまざまな職種や経験に応じた例文などを紹介します。志望動機について理解を深め、説得力のある志望動機を作成するためのヒントが満載ですので、ぜひ参考にしてください。
1. 志望動機の重要性
求職活動において、志望動機は極めて重要な要素です。企業が応募者の志望動機に注目するのは、その人材が自社にとって最適かどうかを判断するためです。
なぜ企業は志望動機を重視するのか
企業が志望動機を重視する主な理由は以下の2点です。
- 企業に対する熱意を確認するため
企業は、単なる能力だけでなく、「この企業で働きたい」という強い意欲を持った人材を求めています。熱意があれば、長期的な視点で自己成長し、課題にも立ち向かっていける可能性が高いからです。逆に、熱意がないとすぐに離職されそうだと見なされ、評価が下がってしまいます。 - 企業文化とのマッチ度を測るため
企業の社風や方針に適合しない人材では、力を発揮できず、早期退職につながる可能性があります。志望動機から、応募者が企業文化に馴染めるかどうかを判断します。
志望動機が選考に及ぼす影響
面接では3秒で印象が決まると言われますが、書類選考においても志望動機は特に重要です。この部分で、自社への熱意と自身の経験が活かせる理由を適切に伝えられるかどうかが、選考結果に大きな影響を及ぼします。
したがって、企業研究を十分に行い、自分の言葉で志望動機を丁寧に作成することが重要です。
2. 志望動機を書くポイント
ポイント1.提出方法によって文章量を調整する
志望動機の文章量は、提出する書類のフォーマットに合わせて検討することが重要です。A4サイズの志望動機書の場合は、内容を詳しく書くことができます。一方、履歴書の欄に短く記入する場合は、要点を簡潔に表現する必要があります。提出方法に合わせて、適切な分量と表現方法を選択しましょう。
ポイント2. 「転職の理由」と企業の志望動機を結びつける
例えば金融機関の面接時に「メーカーへ転職したくて転職を始めました」と言う人がいたらどうでしょうか。その後どんなに素晴らしい志望動機を言ったとしても、面接官には志望度が低い・発言内容が矛盾しているとして評価が大きく下げられてしまうでしょう。
そうならないためにも、転職理由と志望動機は必ず結び付けておきましょう。
ポイント3. 応募企業を選んだ理由を明確に伝える
志望動機には、なぜその企業を選んだのかを明確に示すことが重要です。面接官は、あなたが自社のことを十分に理解しており、自社で働くことに強い意欲があるかを確認したいと考えています。ホームページの情報でも活用して、応募理由を具体的に説明しましょう。
ではどこまで企業の情報を調べればよいかという話ですが、基本的に新卒向け採用ページの情報を理解しておけば問題ないです。上場企業であれば有価証券報告書等の詳細情報も見れますが、時間も労力も限られているのでそこまで確認しなくても問題ないでしょう。
もし新卒採用ページがない、もしくは少ない場合は「事業概要」のような内容を抑えておけば問題ないです。
ポイント4. 会社にどれだけ貢献できるかをアピールする
企業を志望する理由に加えて、自身がその企業にどのように貢献できるかをアピールする必要があります。自分の能力やスキル、価値観や熱意など、自分の強みを十分に発揮し、企業に価値をもたらせることを示しましょう。
ポイント5. 自分の体験・スキル・実績を生かしたオリジナルな内容を書く
自身の経歴やスキル、実績などを活かし、転職先でどのように活用・応用できるかを具体的に表現しましょう。読み手にすぐにイメージがつくような表現が重要です。自分の職業人としての魅力を分かりやすく伝えることで、高い評価を得られるでしょう。
ただ注意点として、嘘はつかないことです。転職の場合、自分の職歴やエピソードについてはかなり深堀されます。嘘をついていることは簡単にバレますのでやめましょう。
ポイント6. 自分と企業の話をバランスよく考えよう
自分の想いと企業への想いのバランスに注意が必要です。企業への敬意を示したり、共感する点を伝えるのは重要ですが、主眼は自分がどのように貢献していきたいかを伝えることです。
ポイント7. 将来のキャリアビジョンも伝えよう
志望動機では、自分の将来のキャリアビジョンについても触れるようにしましょう。遠い将来の話でも良いので具体的な職種やポジションなどの希望を示すことで、長期的な意欲と適性が伝わります。
ポイント8. 経営理念やビジョンとの関連付けも忘れずに
会社の経営理念やビジョンと自身の思いを関連付けて表現するのも大切です。単に「共感しました」と書くよりも、具体的な理由を自身の経験と共に示すと説得力があります。
ポイント9. 伝え方や書き方はポジティブに
志望動機は、「この会社で働きたい」という意欲的な気持ちを伝えるものです。「他に良い企業がなかった」みたいなネガティブな理由ではなく、ポジティブな表現で自身の魅力を述べるよう心がけましょう。
3. 職種別の志望動機の例文
さまざまな職種における効果的な志望動機の作成ポイントと例文をご紹介します。ポイントや例文を基に、応募先企業に合わせて内容の肉付けをしていってください。
事務職の志望動機
事務職では、幅広い業務をこなす必要があるため、自身のスキルと経験をしっかりとアピールすることが重要です。以下は事務職の志望動機の例文です。
- 法律事務所の一般事務全般を4年間にわたって担当してきました。
- 進捗管理業務のクラウド化や紙資料のデジタル化など、業務の効率化に積極的に取り組み、上司から高い評価を得ています。
- この経験を活かし、貴社の効率的な事務オペレーションの構築に貢献したいと考えています。
- 貴社のクラウドサービスの利便性の高さにも魅力を感じました。事業の発展に尽力させていただきます。
営業職の志望動機
営業職では「お客様に寄り添う」姿勢が重要です。以下は営業職の志望動機の例文です。
- これまでの営業経験の中で、「○○さんなら安心して任せられる」と言われることが何よりの喜びでした。
- しかし、前職では一定のサービスプランの枠組みがあり、提案の自由度に制限がありました。
- オーダーメイドにこだわる貴社であれば、お客様のニーズに合わせた最適なプランを提案し、組み立てていくことができると考えています。
- お客様に寄り添いながら、ご満足いただけるソリューションを提供していきたいと思います。
Webデザイナー・Webディレクターの志望動機
Webデザイン・ディレクションでは、デザインの力と集客力の両立が求められます。以下は関連職種の志望動機の例文です。
- これまでWebサイト制作に携わる中で、ファッション関連のサイトづくりにやりがいを感じてきました。
- 貴社のサイトを拝見し、「肩の力を抜いて自然体の自分でいられるように」というコンセプトに強く共感しました。
- 私は得意なナチュラルテイストのデザインで、貴社のブランドイメージをより多くの人に知っていただくためのコンテンツ企画にも取り組んでいきたいと考えています。
- デザインの力と集客力の両面から、貴社の発展に貢献できると確信しております。
このように、職種ごとの特徴を意識しながら、自身の経験と強みを効果的に打ち出した志望動機を作成しましょう。
4. 経験の有無別の志望動機の例
未経験の職種へ転職する場合の回答例
これまでの経歴で培った経験を活かし、新しい分野にチャレンジすることが重要です。例えば、事務職や営業サポートの経験を生かして、営業職への転職を目指すことができます。そのような場合、以下のような回答が考えられます。
- これまで3年間、事務職として勤務してきました。その中で、営業サポートの業務も担当しており、営業部門と密接に連携して業務を行うことが多くありました。具体的な業務としては、帳票作成やカタログ整理、クレーム対応などです。この営業事務の経験を生かし、次のステップとして、お客様のために第一線で活躍できる営業職に挑戦したく、このたび御社の営業職に応募いたしました。
未経験分野にチャレンジしたい理由や、異なる職種での経験がどのように新しい職種で生かせるかを明確に示すことが重要です。また、未経験者を雇用することのメリットにも触れ、採用担当者の理解を深めることができます。
同業種へ転職する場合の回答例
同業種への転職を検討する際は、前職では実現できなかった何かがあったことが理由のひとつとなります。以下のような回答例が考えられます。
- 現在、防水材の専門メーカーで、改修工事の調査診断員を担当しております。その中で、調査診断だけではなく、問題解決へのご提案もできる防水改修の営業コンサルタントになりたいと考えるようになりました。お客様により適切な解決策をスピーディーに提案したく、取扱商品が多い防水材の総合商社への転職を希望しています。そこで、御社を第一志望に応募いたしました。
同業種への転職理由を伝える際は、前職を否定するような表現は避け、前向きな言葉選びをすることが重要です。なぜ同業種への転職を希望しているのか、転職を決断するに至るまでの経緯、入社して実現したいことなどを具体的に説明しましょう。
第二新卒の場合の回答例
第二新卒の志望動機では、ポテンシャルや熱意を感じてもらうことが重要です。以下のような回答例が考えられます。
- 新卒入社した会社を退職後、この1年間、自分自身の適性を見つめ直すため、アルバイトを経験しながら、内省してまいりました。具体的には、接客業に興味があるため、飲食店での店長職やアパレルでのセールスアソシエイト職として、それぞれ半年ずつ勤務しました。その中で、接客業務だけでなく「食」に関しても強い興味関心を持つようになりました。そこで、このたび決意を固め、レストランを複数経営なさる御社に、店長候補者として応募させていただきました。
経験やスキルだけでは劣る部分もあるかもしれません。そのため、第二新卒ならではのフレッシュさや熱意、責任感を伝えられるようにしましょう。
5. 志望動機に関するNGワード
志望動機を述べる際は、採用担当者の目を引く表現を心がける必要があります。以下では、避けるべき志望動機に関するNGワードについて解説します。
【1】退職理由と志望動機の不一致
これは先程も記載しましたが、前職での退職理由とこの企業を志望する理由に矛盾があると、採用担当者から信頼を得られません。前職での経験や取り組みを丁寧に説明し、この企業で生かせる理由を具体的に示すことが重要です。
【2】抽象的な「共感」表現
「経営理念やビジョンに共感した」といった抽象的な表現は避けましょう。どの部分に共感したのか、そしてそれをどのように活かしていきたいかを具体的に述べることが肝心です。
【3】受動的な「学ばせていただきたい」
「学ばせていただきたい」といった受け身の表現は控えめにしましょう。この企業で即戦力として貢献したいという意欲を示すことが重要です。さらに、新しいことにも積極的にチャレンジする姿勢を表すと好印象につながります。
【4】待遇面のみの強調
給与水準や両立支援など、待遇面の魅力を強調するだけでは不十分です。業務内容や事業内容など、企業自体の魅力を具体的に述べることが重要です。ただし、待遇面の条件も必要不可欠なため、それらとの適切なバランスを保つようにしましょう。
まとめ
志望動機は、企業が応募者の適性を判断する重要な要素です。志望動機を作成する際は、自身の経験や強みを具体的に示すことが肝心です。また、企業への深い理解と熱意を伝え、長期的な視点で貢献したいという姿勢を示すことも大切です。さらに、職種や経験年数に合わせた適切な表現を心がけることで、より採用担当者の共感を呼ぶことができるでしょう。志望動機の準備には十分な時間をかけ、自分らしさを引き出した魅力的なアピールをしましょう。